「ボクにはわからない世界だねぇ」
「わかるって言われたら冒涜された気分になるね」
「ひどいな、イルミ。自分より弱いものを大事にしたい気持ちはボクだってわかるのに」
「ヒソカの場合は、青い果実が熟すのを待ってるだけでしょ」
「ウン」

それは兄心って言わないよ、とイルミがまともなことを言ってる。
俺は黙々と本を読みながら、二人の会話に内心で突っ込む。
つーか、この二人に一般的な感情について語られたくないんですけど。

「ククク、イルミの愛情は歪んでるよねぇ」
「うん」

自分で頷くなよイルミ。

「そういえばも彼とは付き合いが長いんだっけ?」
「………それだって、イルミに頼まれたからだ」
「そうなの?」
「うん。キルが修行するときたまたまいたから任せただけ」

キルアと会えたのは嬉しかったけど、その後イルミの仕事も手伝わされて困ったなぁ。
俺がいま運び屋として生活してるのはイルミのおかげ(せい?)なわけで。

「けどときどき、イルミよりといるときの方が兄弟に見えるね」
「………」
「ヒソカ余計なことを言うな」

イルミさんの針が!針が光ってるんですけどー!?
ブラコンのイルミの前でそういうこと言わないでくれます!?
俺殺されたらどうしてくれんだ!つか、さっさと出てけよ二人とも!!
なんで二人揃って俺と同じ飛行船乗ってるわけ!?自分の部屋戻れ!

「ボクも弟とかいたら楽しかったのかなぁ」
「やめておけ。弟が可哀想だ」
「ただでさえ異常なんだから、やめておけば」
「二人揃ってどうしてそう冷たいんだろうねぇ」
「「変態だから」」

そこだけは、俺もイルミも意見が一致してる。

イルミも確かにキルアに向ける愛情は異常だと思う。
けど、ヒソカとはまた違うわけで。完全なる家族愛だとわかるんだ。

でもヒソカはなー……。

「ねぇ、
「………何だ」
「ボクの弟にならない?あぁ、兄でもいいよ」
「切り刻むぞ」
「…そうか、が俺の弟になればキルの兄って言われても問題ないか」
「イルミまで何言ってんだ」

キルアたちの兄になれんのは嬉しいけど、イルミの弟にはなりたくない。
そんでもって母親がめっちゃ怖いし、そもそもゾルディックで生きていける気がしない。

「ボクが先に言い出したのに」
「決めるのはでしょ」
「……いやだから」
「あぁ、じゃあボクもイルミん家のコになればいいのか」
「君が弟になるのは嫌だ」

いつもいつも思うんだけど。
……なんで皆、俺の意見を聞いちゃくれないんでしょうね……?






いいじゃないか、楽しい家族になれるぞきっと。

[2011年 11月 23日]