「お前よ、好みのタイプってのはねえのかよ」

そうレオリオに言われたのは突然で。
俺は思わず動きをとめて、ぱちぱちと目を瞬いてしまった。
なんで?どうして好みのタイプなんて話になったんだ?わけわからん。

混乱する俺の横で、クラピカが呆れた表情を浮かべる。

「レオリオ、なんだいったい」
「いやお前も気になるだろ。の女に対するあの態度!」
「………俺、そんなにひどいか?」
「ひどいなんてもんじゃねぇよ。お前はなーんもわかっちゃいねぇ」

がーん…!!
レオリオに全否定された…!女の子の気持ちわかってないって言われた…!
そ、そりゃ付き合ったことない年数=年齢だけどさ!彼女いたことないけど!
………女心がわからないから彼女できないのか……うう。

「だからまず、お前の好みのタイプを聞いて、それに対する対策をだな」
「それをレオリオに話したところで、まともな助言が聞けるとは思わないが」
「んだとクラピカ!頭の固いお前よりはよっぽど」
「…そうすぐに突っかかるな二人とも」

仲良いのにすぐ口喧嘩するんだからなーもう。
これはこれで、一種のコミュニケーションなんだろうけどさ。

「んで?お前の好みのタイプは」
「好みの……タイプ」

そう言われても、なんか答えるの恥ずかしいんだけど。
ずいっと身を乗り出してくるレオリオには気圧されっぱなしだし。
なんでだかクラピカも真剣な顔でこっち見てるし…!

「………優しくて、家庭的なひと?」
「………………随分、普通だな」
「普通が一番じゃないか」

奇抜な人間なんてすでに俺の周りにごろんごろんいる。
俺は平穏な人生送りたいの!のんびり一緒に過ごしてくれるひとがいいの!
でも、そんな素敵な女の子が俺の前に現れてくれるはずもなく。
…むしろ現れてくれたとして、相手にしてくれることなんて絶対にない。

………やばい、落ち込んできた。
絶望的な俺の恋愛運にどんよりしていると、何やらレオリオが慌てる。

「き、気にすんなって。そりゃ世界が違うってんでそういう子には声かけづらいかもだが」
、私はお前に幸せになってほしいと願っている。だから、いつかいいひとが出来ればいいとも思う。にならできるだろう」
「…どうかな。素敵だと思えば思うほど、俺には不釣り合いだよ」
「何言ってんだお前」
「……幸せにしてやりたいと思っても、そうできる自信もないダメな男だし」

好きになった女の子を守りたい幸せにしたいと思うのが俺の男心。
だけど実際にそれができるかは別問題で。
でもそうしたいと願えたなら、好きだと伝えることができるんだと思う。
………ということはだ、そういう勇気が出ない俺はいつまでたってもダメダメなわけで。

「あーもう!悲観してんじゃねえよ!」
「諦めのあまり女性たちにああした態度をとっているのなら、やめた方がいいぞ」
「……どういう意味だ?」
自身を傷つける。誰かと過ごしたいだけなら、私たちを呼んでくれ」
「…ありがとう…?」

俺、そんなに寂しい子に見えるのか…?
なんだかどんどん情けなくなってくるんだけど、レオリオもクラピカも好意で言っている。
それだけはわかるから、結局おとなしく頷いておくことしかできなかった。

………で、俺のどこがそんなにひどいんだ?




そういうとこ、そういうとこ。

[2012年 1月 3日]