この二人相手だと、きっとキルアは大変に違いない。
[2012年 1月 3日]
「ってもしかして可愛いもの好き?」
「あぁ、大好きだ」
ゴンの質問に即答して頷くと、釣竿を下げていたキルアがぎょっと振り返った。
え、別に驚くことじゃないだろ。可愛いものっていいよなー、心和むから。
昔から小動物は好きだし、ゴンやキルアみたいなちびっ子も癒される。
いま膝にのせてるのも、どこからかやってきた猫。可愛いなー、こいつめ。
「そういえばキルアも会った頃はいまより可愛かったな」
「は!?」
「とキルアってハンター試験より前から知り合いなんだよね?」
「あぁ。…あの頃はキルアは何歳だったか」
「ばっ…!思い出さなくていーよ、んな昔のこと!」
真っ赤になって怒鳴るキルアは照れ屋に育って、これまた可愛い。
でも天空闘技場時代の素直で無邪気なキルアも好きだったんだけどなー。
ま、いまでも十分素直で無邪気か。…ときどき怖いけど。
「お前、ロリコンとかショタコンじゃないだろうな」
どこで覚えてくるのそんな単語!?
「……別に恋愛的な好きじゃなくて、ほっとするんだ」
「ほっと?」
「言葉にするのは難しいが…こう、安心できるというか。緊張しなくて済む」
子供によっては逆に緊張する場合もあるけどさ。
キルアとかゴンといるときは本当に癒されるんだよ、二人とも良い子だから。
俺のこと慕ってくれてるのわかるし、危害を加えてくることもないだろう。
弟とかいたらこんな感じかな、とよく思う。一人っ子だからな、俺。
俺の膝で撫でられるがままだった猫が、にゃあと鳴いた。
うんうん、動物も本当に癒しだよな。猛獣はちょっとお断りしたいけど。
「俺もといるの楽しいから好きだよ!」
「!?」
「おいゴン!何ハズイこと言ってんだよ!」
「だって本当のことだし。キルアだって同じだよね?」
「それは…っ……。…………お前みてーに誰でもほいほいそういうこと言えるわけじゃねーっつーの!!ったく」
つまりはキルアも同じことを思ってくれてるわけで。
俺はじわじわ嬉しくなってきて、両腕にキルアとゴンをそれぞれ抱え込んだ。
わ!?と釣竿を持ったままキルアが声を上げて、ゴンはくすぐったそうに笑う。
あぁ、この二人といまこうしてられる俺ってすげー幸せじゃね?
「俺も、二人のことが好きだ」
「うん!」
「……っ……だーもー!!」
じたばたと赤い顔で暴れ出したキルアに、俺もゴンも笑った。
この二人相手だと、きっとキルアは大変に違いない。
[2012年 1月 3日]