、これ。この間のお返し」

久々にシャルと顔を合わせたのは夜の公園。
お互いに用事があって近場にいたから、中間地点のここを合流場所にしたんだ。
相変わらずの爽やかな笑顔で現れた友人は、小さな袋を投げてよこす。
お返しって……あ、もしかしてチョコのお礼か?そんなよかったのに。
いつも俺が世話になってるから、そのお礼として渡したものだったんだけど。

「…ありがとう」
「さすがにいきなり菓子作りにチャレンジする勇気はなかったから、食べ物じゃないけど」
「お返しをもらえると思ってなかったから、嬉しいよ」
「そ?」
「そうだ、シャルこれからアジトに帰る予定は?」
「んー、まあ顔出そうとは思ってる」
「じゃあこれ。カルトによろしく」

カルトにはチョコをもらったから、そのお礼をしたかったんだけど。
ちょっと仕事が立て込んでて直接渡せそうにない。
ゾルディック家に送るっていう手もあるけど、ちゃんと本人に届くか不安だしなー。

もマメだよねー」
「いや、毎年やろうとは思わないけど…。今年はたまたま」
「ま、たまには良いもんかも。クロロたちも喜んでたよ、あっという間に食べつくしちゃってさ」
「…迷惑にならなかったんならよかった」

旅団のメンバーにお菓子なんて、送っても喜ばれないかなぁと不安だったから。
クロロや女性陣は甘いもの好きだけど、フェイタンとかフィンクスの好みはよくわからん。

からのものを迷惑に思う連中はいないと思うけどねー。むしろ欲しくてたまらないってヤツの方が多いんじゃない?」
「……いや、そんなことはないだろう」
「いいや、あるね。例えば………そこに隠れてるヒソカとか」

…………なんですと?
縁起でもないこと言うなよ、名前出したら来ちゃうじゃんか!と思った俺。
現実を受け入れたくないため、シャルが視線を向けてる方向に振り返りたくない。
………勘弁してくれ、嫌だぞ。なんでここにいるんだ変態奇術師!

「なんだ、驚かせたかったのに」
「殺気だだ漏れ。全然隠せてなかったけど?」
にこれを渡せるのが楽しみで、感じちゃったんだよネ」

…あー……ヒソカの独特な声までも聞こえてきた。幻聴であってほしいのに。
近づいてくる足音もするし、禍々しいオーラがびりびり肌に触れる。
殺気なんだかよく分からないものが、俺にまとわりつく感じがして怖い。

「……俺に渡すって、何を」
「ククク、この間甘いものをもらったからね。そのお礼参りをしようと思って」

お礼参りって物騒な単語を使うなよな!?

「受け取ってくれるだろ?ボクの愛」
「いらん」

受け取るはずないだろうがそんな気色の悪いものおおおおおぉぉぉ!!!
何か手にしてじりじり近づいてくるヒソカ。何、その手にあるの何。
なんだかはっきりと口に出しちゃいけないもののような気がするんですけどー!!?
しかもお礼ってなんだよお礼って!俺、お前には何もあげてねえよ!!
イルミのを勝手に食べただけじゃねえか、それでお礼しようとすんな!

「ヒソカって気持ち悪いけど、が絡むとより気持ち悪いよね」
「………認めたくない言葉だなそれは」
「正直、こうなってるときのヒソカは避けたいんだけど」
「…同じく」
「なんだい?鬼ごっこかい?」

つかまる気はないけどな!!






シャルからのお礼は、多分小型の電子機器。

[2012年 3月 15日]