作者にもわかりません。
[2012年 6月 12日]
ゼビル島で行われる四次試験。
これは受験生同士が狩る者となり、狩られる者となる試験であり。
受験生それぞれに、ひとりの試験官がついて試験を見守る形となっている。
もちろんそれは受験生に伝えられてはいないが、勘の良いものは気づいているだろう。
私が担当するのは350番。すでに念を習得していると思われる青年だ。
焦げ茶色の瞳は何を考えているのか悟らせない不思議な色合いをしている。
ゼビル島に入っての初日や二日目は全く試験に参加する気もないような態度で。
ただ木の上で寝て過ごしているようだった。
それに変化が訪れたのが、今日。
夜になり歩き出した350番は近づく受験生の気配に気づいているだろうに、身構えない。
むしろ誘い出すかのように、のんびりと無防備にも見える様子で歩き続ける。
350番を見かけて近づいてきた受験生は、二人。
そのどちらも警戒しながら徐々に近づいていくが、350番はまだ反応しない。
うち一人が間合いにまで入った瞬間、ようやく振り返った。
しかし、自分を襲撃しようとする相手にやはり戦闘態勢には入らない。
近づく、異様な殺気に気づいていたからだろう。
突然やって来た44番は、恐ろしい狂気の表情で受験生の一人を殺害。
その一瞬の隙をついて、405番が44番ヒソカのプレートを奪った。
目的を果たした405番の少年は、そのまま森の中へ駈け込んでいく。
それを追うヒソカには同行せず、350番は倒れた受験生からプレートを取得した。
一見無防備にも見える背中に、ずっと潜んでいた受験生が距離を詰める。
けれどそれを待っていたかのように、350番は立ち上がり鋭い視線で射抜いた。
発見された、と気づいた受験生がいよいよ飛び出し襲いかかる。
攻撃を身体を仰け反らせてかわした350番は、そのままバク転。
その要領で襲撃者の頭を足で挟み込むと後方に飛びながら、地面に叩きつけた。
流れるような動作は、やはり只者ではない。
襲撃してきた受験生からもプレートを奪い、今度こそ森の中へ。
そうしてヒソカと顔を合わせ、標的となっているプレートを交渉の末手に入れる。
目的を果たした彼は、傍に倒れていた405番を介抱してやった。
どうも彼は気まぐれなのか他人の世話を焼くのが好きらしい。
何の感慨もなく敵を叩きのめすのに、不思議なものだ。
その後も99番と合流して、ほのぼのとキャンプのように過ごしている。
トリックタワーの試験を思い出して、同じ道を進んだ受験生を「役立たず」呼ばわりしていたり。
かと思えば優しく99番の頭を撫で、食糧を分けてやったりする。
なんとも矛盾だらけの男に、私はどういう評価を下せばいいのか。
ますますわからなくなった。
作者にもわかりません。
[2012年 6月 12日]