「さあ、観念しろ
「………意味がわからない。なんで俺が」
「面白いからに決まっているだろう」
「死ね」

あーあ、がものすごく殺気立ってるよ。
じりじりとにじり寄るクロロと、臨戦態勢をとって睨む
まあ二人にはそうしてもらうとして。

「これなんかいいんじゃない?ワンピース」
「シャルまで」
「けど変装は大事だよ。なんか特に、マフィアに睨まれたら仕事に支障出るでしょ」
「なら俺を巻き込まなければいいだろう」
「「それは面白くないから却下」」
「………お前らな」

お、珍しくオーラがざわざわすごいことになってる。
が俺に対してこんなふうに怒るのは珍しいなー。ヒソカとかフィンクス相手ならともかく。

まあでも、普通は嫌がるよね。女装とか。

俺たちの慈善活動にちょっと手伝ってもらうため、には変装してもらっているところ。
運び屋をやってるはマフィアなどからの仕事も依頼されるだろう。
だから俺たち蜘蛛と関わってるとバレるのはあんまりよくない。じゃあ変装しよう。
もう性別から変えちゃった方がバレないんじゃない?ということになったんだけど。

「よし、とりあえずこれ着て。あとはデパートで決めよう」
「………まさか、買い物に行くのか」
「うん、ここにあるのだけじゃね。サイズだってに合わせたものの方がいいだろうし。靴とかまではさすがに用意できないから」
「かつらはこれでいいか。ああ、似合うな」
「………待て、無造作ヘアーにも程が」

唸ったがてきぱきと髪形を整えていく。
長髪でもないのに手際良いなー。あ、女装とか仕事ですることあるんだっけ?
ならここまで嫌がらなくていいのに。似合ってるんだし。

三人でデパートに入って、ドレスを色々と合わせてみる。
マフィアのオークションに参加するから、一応きちんとした格好しないとね。
俺もクロロもスーツを着るから、それに合った感じのを。
とはいっても男の体格が上手く隠れる感じのを選ばないとだけど。
の手の甲にある怪我も隠せるように手袋も選んで。

「このヒールとかいいんじゃない?」
「…無理だろ、さすがにこれはバランスとれないぞ」
「これはもう凶器のレベルだな」
「女の子ってすごいよねー、こんなんで歩くとかさ。はい」
「………なんで履かせようとするかな」
「だってこのドレスにはこのヒールが合うかなと思って。ほら、俺が支えてるから」

渋々といった表情で俺の手と肩に両手を置いて、が恐る恐るヒールを履く。
男の割には大きすぎるということもない足らしくて、女物も履ける。
もちろん、サイズは一番大きいのになるけど。だからデザインはあんまり選べないんだよね。
でもうん、いいんじゃないかなこれ。

「クロロ、どう?」
「どこからどう見ても恋人同士だな」
「「は?」」
「…いや。いいんじゃないか、髪と目の色にも合ってる」
「じゃあこれで決まり」
「……マジで歩きにくい」
「なら慣れるまで俺につかまってなよ」

ぐらいの運動神経ならすぐ慣れるでしょ。
そんなわけでクロロと一緒に集合場所まで向かった後。
目を白黒させるウボォーたちが面白かったのは、お約束。





自分が女装させられそうになったら、マジギレどころの騒ぎではないと思うよシャル。

[2012年 8月 24日]