「寒いー!さーむーいー!!」
「………っ………こら、シャル…!!」
「あー………あったかいやー」
「冷たい、お前の足冷たすぎる…!」
「うー、ほんっと外寒くてさぁ。よっこらしょ」
「…………おい、なんで同じベッドに入ってくるんだ」
「寒いから?」
へらりと笑ってそのまま侵入してくるなよもー。
すっかり夜中の時間。俺はもう寝てたんだけど。
ばん!と遠慮なくドアを開けたシャルがずかずかと大声で部屋に入ってきた。
しかもそのまま俺の寝床に入って、氷みたいに冷たい足を絡めてきたもんだから。
…くそう、風呂であったまったのに体温奪われる。
寒いー、寒いよー、シャルが着てる服も外気のせいで冷たいよー。
「………シャル、服脱げ。上着だけでいいから」
「?何で」
「寒い。お前のその服が寒い」
「ああ、了解」
どうやら下は薄手のセーターを着ていたらしく、そっちはまだあったかい。
はー、やれやれ。これで俺の安眠は守られそうだ。
「………ていうか、そんなに眠いの」
「冬は眠いだろ…。もうこのままでいいから、お前も寝ろ」
「え、いいの?」
「布団動かされるとそれだけで寒い。むしろもう出るな」
「………はーい」
なんともいえない声でシャルが答えたのを聞いて、俺は目を閉じる。
せっかくすぐ傍に暖房よろしく温もりがあるんだから鼻先を寄せる。
少し戸惑うような気配があったけど知るもんか。勝手に入ってきたのはそっちだ。
寝る邪魔をするなよ、とおでこでシャルの胸板に軽く頭突きをひとつ。
そうすれば、くすくすと笑い声が聞こえてきて。頭をぽんと撫でられた。
あー、こうやって撫でられんのどれぐらいぶりかな。
余計に眠くなって、そのまま夢の世界へ俺は落ちていく。
翌朝、目が覚めて普通に朝食を作ってたら。
なんでさっさとベッドから抜け出すかな、となぜかシャルに文句言われたけど。
起こさないでやったんだから、むしろ感謝してほしいぐらいだと思う。
寒いと甘えん坊になりますよね。
[2012年 12月 22日]