ついに足を踏み入れたグリードアイランド。
父さんへ繋がる手がかりがここにあるのかもしれないと思ったけれど、そういうものはなくて。
仲間と作ったゲームを自慢したかっただけだ、というメッセージが残されるのみだった。

ならば全力で楽しんでやろう、と決めてキルアと共に未知の世界を歩いている。
カードを使ったルールは正直覚えきれていない。こういう細かいことは得意ではないのだ。
適材適所ってやつだよね!とキルアに甘えていたら怒られてしまったけれど。面倒見の良い親友はなんだかんだで世話を焼いてくれている。

そして道中でビスケットという少女にまとわりつかれることになった。
まさか彼女がウイングの師匠であり、自分たちの師匠にもなるとは思わなかったけれど。

どうしてるかなぁ」
「なんだよ突然」
「お腹空いてきたら、のご飯が食べたくなっちゃって」
「やめろよ俺まで腹減るだろうが」

周囲を見回しても広がるのは崖と岩。食べ物なんてろくなものがない。
深いクレーターのような中にいる自分たちは、殺人鬼を相手に念の修行中だ。
ビスケは高台から様子を見守っており、最低限の食べ物と飲み物は放り込んでくれている。あくまでも栄養補給が目的であるため、美味しいご飯が恋しくなってくる。

「メールや電話の一本で仕事に行っちまう薄情者のことなんざ知らねーっての」
「キルアまだ拗ねてるの?」
「別に拗ねてねーし!」

グリードアイランドのプレイヤーとしての試験に受かったのに、はもういなくて。
せっかく形になってきた必殺技を見てもらえなかったのも残念だったんだと思う。

合格報告にはちゃんと返信があったみたいなのに。
仕事中のはずなのに連絡をくれるってすごいことなんじゃないかなぁ。
そう伝えたら、んなこと知ってるっての!と唇を尖らせていた。
ほんとキルアはが絡むと甘えん坊になるよね。

なんて和んでいたら、こちらを狙う殺気が強まったことに気が付く。
キルアと共に自然と意識を尖らせ、休憩時間を終わらせることにした。

次に会ったときを驚かせられるように。強くなっておかなくちゃ。

その後は二人で美味しいご飯を作ってもらおう。
が作る料理はミトさんみたいな懐かしさがあって、俺もすごく好きなんだ。




ビノールトとの修行、好きなお話です。

[2024年 3月15日]