良い兄さんの日にちなんで浮かんだ拍手。
[2011年 11月 23日]
「はあぁ?何言ってんだお前」
「お前こそあいつの何見てんだよ!」
いつもの通り喧嘩してるらしいキルアとレオリオ。
二人とも飽きないよなー、なんだってあんなに毎日毎日。
どっちも面倒見良いタイプだから逆にぶつかるのかもしれないけどさ。
よく同時にゴンを叱ってたりもするしな。
「ただいま」
「あ、おかえり」
のんびりとゴンが迎えてくれて、クラピカも本から顔を上げておかえりと一言。
二人にもう一度ただいまと返して、俺はレオリオとキルアに視線を向けた。
「…あの二人は?」
「放っておけ」
「のことを話してたみたいだけど」
「俺?」
俺が原因で喧嘩してんの?
「だーかーらー、どう考えてもあいつはそういうタイプじゃないだろ?」
「だーかーらー、お前のその目は節穴かってーの。そのサングラス曇ってんじゃねーの」
「なんだとー!?」
「……二人とも、その辺りでやめておけ」
「「!」」
どうやら俺が帰ってきたことに気づいてなかったらしい。
どうしたんだろうかと首を傾げながら近づくと、なぜかレオリオは俺から距離をとった。
え、何それ寂しい。なんでそんな顔引き攣らせてんの。
反対にキルアは俺の腰に抱き着いてきた。
あれ、珍しい。最近じゃこんな風に寄ってくること少ないのに。
いったい何が原因で喧嘩してるんだかわからず、とりあえずキルアの頭を撫でる。
なんかもうこれ条件反射だよな、うん。撫でやすいんだよキルアの頭。
「ほらみろ!」
「ぐっ」
なぜか自慢げな表情を浮かべるキルアと、悔しげに唸るレオリオ。
い、いや、何が「ほらみろ」なんだ?訳がわからん。
「…何を争ってるか知らんが、とりあえず落ち着け。キルア、ちょっと出かけてくる」
「え、また?」
「さっき電話があって。俺の探してた本が入ったらしいから、引き取りに」
「って、あのいつも行ってるとこ?けっこう遠いじゃん」
「できるだけ早く帰ってくる」
ぽんぽんと頭を叩くと、恨めし気な猫目。
うー、そんな顔して見上げるなよ。可愛いなこんちくしょう。
お詫びにいつものケーキ買ってくる、と告げれば少し機嫌を直したようだった。
忙しいね、と目を瞬くゴンに苦笑。
クラピカに皆のこと頼む、と声をかけて俺はまた扉に手をかけた。
「レオリオ」
「お、おう、なんだ?」
「怒るのもほどほどにしておけよ。身体によくない」
「は」
医者の卵に言うことじゃないかもしんないけど。
でもレオリオは俺の数少ない気持ちを理解してくれる友人なわけで。
身体は大事にしてほしいなーと思う。
じゃ、と手を挙げて俺はそのまま部屋を後にした。
「………キルア」
「…何だよ」
「確かにあいつ、妙に面倒見いいわ」
「まったく、くだらない議論を続けてどうする」
「けどよぉ、クラピカ。あいつ『兄貴』ってイメージねえだろ」
「そう?キルアといるって、お兄ちゃんって感じするよ」
「イルミかミルキか、あいつと替わってくんねーかなー」
良い兄さんの日にちなんで浮かんだ拍手。
[2011年 11月 23日]