自宅にて

、ホントごめん!」

ぱん!と両手を合わせて頭を下げるのはゴンだ。
俺はなんていうか、はあ…と間の抜けた声を返すしかない。

どうやら俺はしばらくの間年齢が退行していたとのことで。
いま現在もまだ完全には戻ってないんだけど、記憶の方は取り戻してきてる。
鏡に映る自分がちょっと若返ってるもんだから最初はびっくりしたよ。
気が付けばなんでかシャルの家にいたし。
まだ十代のひょろい身体みて、もこんな時期あったんだーとか笑ってたあいつは許さん。

記憶も戻ってきたから、と俺は自宅に帰ってきたわけだ。
そうしたらゴンから連絡があって、家にいることを伝えたらすぐに駆けつけてくれた。

「ジンには俺からよく言っておくから」
「いや、別にゴンのせいじゃないからいいよ。ジンを止められるヤツなんていないし」
「それはそうなんだけど…。キルアとクラピカから怒られちゃって」
「あぁ…あの二人はうるさいだろうな」

そうか、キルアたちにも心配かけたのか。これは後で謝らないと。

「あとレオリオが写メ送れって騒いでるから、撮っていい?」
「別にいいけど…」
「えーと、これで撮れるんだっけ。あれ?」
「………せっかくだし二人で撮ろう。ほら、ゴンもこっち入って」

機械にあまり強くないゴンから携帯を奪って、二人並んで写真を撮る。
これで送れるだろと渡してやれば、ありがとう!とゴンが文章を打ち始めた。
なんか照れるなー。こういう体験ができちゃうからハンター世界ってすごいよな。
じーちゃんとか喜んで若返りを体験しそうだ。

「あはは、レオリオ驚いてるよ。本当だったのか!だって」
「疑ってたのか」
「実際に見ないと信じられないのかも」
「…まあ、それもそうか。ゴン」
「ん?」
「ジンの居場所って、お前わかるか」
「うーん、一応探せるとは思うよ」
「なら案内してくれ。一応、落とし前はつけておかないと」
「わかった」

ジンのことだ、あっけらかんとしてるんだろうけど。
俺が記憶のないうちに、色んなひとに迷惑をかけてしまったのは事実だろうから。
そこら辺はちゃんとしておかないとな。

ま、それは後にするとして。

「ゴン、泊まってくだろ?」
「いいの?」
「勿論。実はキルアも呼んである」
「え、ホント?やった!」
「久しぶりに三人で夕飯食べよう」
「寝る前は枕投げしようよ。もいまは若いんだし」
「元の姿は年寄みたいな言い方はやめろ」

確かにゴンやキルアから見たら年寄かもしれないけどな!まだ二十代だから!

その晩は修学旅行みたいに賑やかな時間を過ごして。
キルアから聞かされた子供の頃の俺の様子に、ゴンと一緒にへーと聞き入って。

後日、知り合いに会うたびにしみじみと頷かれるということが繰り返された。
……どこ行っても、なんでか皆俺を見て頷くんだよ。めっちゃしみじみと。
無言でぽんぽんと肩を叩かれたりもするし、いったいなんなんだろうか。

大きくなったな、とかそういうこと…?





そう思っておけばいいんじゃないかな

[2013年 3月 31日]