オマケ

「ふぅん、傷といってもそんなに大きいわけじゃないんだねぇ」
「このぐらいの傷で死にかけたの」
「………………お前ら、突然来て何してる」
「「お見舞い?」」
「こんな体勢で言うな」

笑ってるように見えるピエロと、全くの真顔のイルミ。
二人が上から覗き込んでくる光景はホラー以外のなにものでもない。助けてぇー!

ようやく全快した俺は仕事にも復帰したわけなんだが。
それを終えてのホテルにて、シャワーを浴びてバスルームから出てきたところを襲撃された。
気が付けば絨毯に寝転がってるよ、ふわっふわの感触が背中にするよ。髪濡れたまま!
うおー、綺麗に掃除されてるとはいえ洗ったばっかりの髪がああぁぁぁ。
そんでもって俺の上に馬乗りになってる変態があああぁぁぁぁ。イルミこいつどけてー!!

バンジーガムで両手まとめられちゃって絶体絶命のピンチ。
イルミはそんな俺の横にしゃがみ込んで、ヒソカが剥いたバスローブの中を確認中。
男二人で男を押し倒すとか、なんて気持ちの悪い光景なんだ…。いや、一名は傍観してるが。

「キミが死にかけたなんて聞いたからさ、どんな傷なのかと思って」
「…ただの傷ならここまで大事にはならなかった」
「呪術が絡んでたんだって?そういうヘマするの珍しいよね」
「ダヨネ。はこれがあるのに」

ヒソカの長い爪が俺の首元にある飾りを撫でる。
これはなんと呪術を無効化する力があるんだそうで、メイサからもらったものだ。
今回は刺さったナイフを通して体内に呪詛が入り込んだから、意味がなかったらしいけど。
いちいちそれを説明するのも面倒で、俺は見下ろしてくる奇術師を睨んだ。

「…重い、どけ」
「ダーメ。いまキミの身体を堪能中」
「いますぐどけ」
「ヒソカってさ、本当に変態だよね」
「ウン。キミのブラコンっぷりも相当なものだと思うけど」
「家族愛なんてヒソカにはわからないでしょ」
「そうだねぇ」

おいそこの変態コンビ、何さらに俺を剥こうと…ぶえっくし!!
風呂上りでこれじゃ湯冷めすんだろうがああぁぁ!!また入り直ししないと!

って本当筋肉つかないよね。ヒソカほどはいらないにしても」
「……お前らがつきすぎなんだろ」

イルミも実はかなり筋肉あんだよなー、くそう顔は美人系のくせして。
ヒソカはもう論外というか不気味な身体だから触れないでおくとしまして…。
日本人の俺はどんだけ努力しても、結局はあんまり筋肉がつかない。
ノブナガとかマチもどっちかというと細身だもんなー、やっぱり国民性か。
………あ、でもハンゾーは筋肉あったな。…今度会ったら殴っておこう、ムカツク。

「んー、良い肌」
「触るな」
「あ、そうそう。、次の仕事なんだけど」
「………イルミ、この変態どかしてから話してくれないか」
「え、やだ。面倒臭いし」
「仕事の話を聞く気になれないだろう」

うわああああああ、やめろヒソカどこ触ってんだお前!!
鳥肌がぞわっと立って俺は遠慮なくオーラを放出する。
別の意味で楽しげに目を細めたヒソカがようやく立ち上がる。
もうやだ、ほんっとコイツやだあああぁぁぁぁ!!

「イルミ」
「何」
「後は任せた」
は?」
「風呂に入り直してくる。髪と身体洗う」
「じゃあボクも」
「来るな。………イルミ、俺は風呂を邪魔されるのが嫌いだ」
「うん、好きだよね風呂」
「だからこの変態をどうにかしてくれ。報酬は…秘蔵のキルア写真三枚で」
「わかった」

まさかの即答。イルミのブラコンは本物だ。

「つれないなぁ」

ねっとりした声が追いかけてくるが、気のせいだ気のせい。
汚れとか寒気とかもろもろ洗い落として身体あっためよう。
……また部屋に戻れば、恐怖の変態が待っているということはいまは忘れる。
状況はなんら改善してないけど、イルミがいるだけマシと思うことにしよう。

とりあえず、ゴンとキルアがいるときじゃなくてよかった。






誰かー!変態よー!

[2012年 5月 14日]