「だああ!!やめろよレオリオ!!」
「いっでえ!!てめえキルア!何もグーで殴るこたねえだろ!?」
ぎゃあぎゃあと騒がしい部屋で、俺はうつらうつらとしていた意識を覚醒させた。
何事かと思えば、キルアがものすんごくぷりぷりと瓶をレオリオから奪っている。
レオリオは涙目で後頭部をさすってて、それをゴンが苦笑いしながら見守ってて。
クラピカは本を開いた状態で呆れた表情を浮かべていた。
「………何してんだ?」
「は関係ない!!」
鬼のような形相のキルアに言われてちょっぴりショック。
え、俺だけ仲間外れ?なんだよなんだよ寂しいじゃんかー。
「そこまで怒ることじゃねえだろキルア。俺はもう酒飲んで良い年なんだぜ?」
「飲むならよそで飲めよ。がいるとこで飲むなっての!」
「はあぁ?こそいい年した大人じゃねえか」
悪かったな最年長で!
レオリオはまだ十代だけど、合法的に飲酒ができる。二十歳が成人というわけではないからだ。
まあ彼の場合は成人する前から酒飲んでたらしいけど。
酒かー。そりゃキルアが過敏になるわけだ。
「ねーキルア。の酒癖ってそんなに悪いの?」
「悪いなんてもんじゃない。性質が悪いんだよ」
「ほーそりゃ面白そうな情報だな」
「趣味が悪いぞレオリオ」
クラピカがたしなめるものの、レオリオは好奇心を隠そうともしない。
えっと…そんな楽しげな目を向けられても。
俺、自分が酔っ払ってる間の記憶なんてないんだよ悪いけど。
ぼんやりとは覚えてるんだけど、それも一部だけらしいし。
一緒に飲む人間の多くが、もう二度と酒は飲むなと真顔で言ってくるぐらいだ。
………俺、相当迷惑かけてんだろうな。だからほとんど飲まない。
「いーかレオリオ。はな、ウイスキーボンボンでも酔っ払うんだぜ!」
「なっにいぃ!?」
「それはまた………随分と弱い」
「…言うなクラピカ。自分でわかってる」
「いーやわかってないね。普通の酔っ払い方じゃないから性質が悪いんだよ!」
きっと睨んでくるキルアの方が年上みたいだ。なんでこんな状況に。
酒の話になるといっつもキルアは目の色変えるからなー。お兄さん自分が恥ずかしい。
「で、どんな酔い方なの?」
ゴンが首を傾げながら尋ねるけど、キルアは急に口を閉ざした。
そう、キルアは俺の酔っ払い方がどんなか詳しく話してくれないのである。
どんなに迷惑をかけてるのか知りたいのに、頑として口を開かない。
………口にするのもおぞましいんだろうか。激しく不安になってきたぞ。
ついにはクラピカも気になってきたっぽいけど、キルアは渋面を浮かべたまま。
俺の酒癖については、彼らが実際に目の当たりにするまで謎になったわけである。
というわけで、主人公の酒癖について色々なひとに語ってもらいましょう。
[2011年 6月 26日]