ヒソカさんヒソカさん、気持ち悪いです。
[2011年 9月 19日]
刺激を求めて色々なところを巡って、幻影旅団に入ってみたりもした。
あそこ、団員はナンバー入りの刺青を身体のどこかに彫らないといけないんだよねぇ。
団員同士のマジ切れご法度、っていう面倒なルールもあるし。
ボクは団長のクロロと本気でヤりあってみたいから、刺青は入れないでおくことにした。
うるさく言われるから、ドッキリテクスチャーで偽装はしておくけど。
興味の引かれる仕事でもないときは、旅団の活動には参加しないよ。
全員参加というわけでもないから、クロロも何も言ってこないしね。
天空闘技場には登録したままだから、期限が迫ると試合をしたり。不戦敗になってみたり。
ここに彼がいてくれたら、もっと楽しめただろうと思うと残念。
けどまあ、有望な新人が勝ち上がってきてるし、退屈はしないかもしれないね。
カストロっていったかな。彼は良い目をしてる。真っ直ぐで、一途な目。
まだまだ未熟だけど、成長すればボクを楽しませてくれそうだ。
そんな風にそれなりに楽しみながら過ごしていたある日。
たまたま大通りでの姿を見つけたとき、ボクの胸がどれほど震えたかわかるかい?
ああ、また強くなった。前に会ったときよりもオーラが研ぎ澄まされて綺麗だ。
行動のひとつひとつにも隙がなくなって、ぞくぞくする。
まさかこんなところで会えるなんて思っていなかったから、動悸が乱れそうだ。
このまま逃げられたらイヤだから、バンジーガムを飛ばしちゃおっかな。
「シャル」
「ん?」
ボクが前触れもなくオーラを放ったとほぼ同時。
は隣を歩いていた同行者の腕を引いて脇に移動した。
ホント、周りを全く見てないようで気配に敏感だよね。前もそうやって避けられた。
小さく息をついた彼は、それでもこちらを振り返らずそのまま行ってしまおうとする。
ああもう、そうやって冷めてるところも相変わらず。ひどいなぁ。
「こんなとこで何してんの」
けどそのクールさが良いよね、なんて悦に浸っていたら。
彼の同行者がボクに声をかけてきた。
あれ?よく見れば見覚えがある。そうそう、旅団の団員じゃない。
「やあ。こんなところで会うとは思わなかったよ」
「俺に声かけてくるようなヤツじゃないよね。何、のこと知ってるの?」
シャルナークって言ったっけ。へえ、と知り合いなんだ。
彼が旅団と何らかの繋がりがあることは知ってたんだけどね。
旅団に興味を持ったのはそれが切欠だったし。けど、ふうん。
ボクとシャルナークが会話を始めてしまったからか、が足を止めて振り返った。
ああ、その億劫そうな表情もイイネ。
「モチロン。ずっと探し続けてたんだよネ」
「へー」
「急にいなくなるから、残念だったよ。どうだい?今夜ボクと」
「断る」
何の感情も宿さない声。この声を聴くと、身体が熱くなる。
この声が怒りや痛みに染まるとどんな色になるんだろう。聞いてみたい。
「俺に関わるな、声をかけるな、視界に入るな」
「うわー、すごい嫌われよう。何したの」
「んー?ボクとヤろうよって誘っただけなんだけど」
「お前の変態プレイに付き合うつもりはない。ひとりでやっててくれ」
「そう言わずにさ。いいだろ?こういう刺激も」
せっかく会えたんだ、付き合ってくれよ。
ボクがトランプを投げると、のオーラがぶわりと膨れ上がった。
軽々とトランプを避けて、そのまま路地裏に駆け込む。
鬼ごっこ?それも楽しそうだね。
後を追いかけながら、前を走る背中にもう一度バンジーガム。
けど後ろに目があるのかと思うほど絶妙なタイミングでは屈んでかわした。
そのまま地面に手をついて勢いをつけ、角を曲がり奥へ。
軽々と駆け抜けていく細い肢体。
すでに成熟した青年だろうに、ほっそりとした足と腕が儚げでいい。
彼の魅力はとにかく、そのアンバランスさだ。
焦げ茶の瞳は澄んでいるのに、ひどく淀んだ色も見せる。
凄まじいオーラ量を持ちながら、その身体は細身。
周囲に全く関心がないのに、呼吸をするかのように周りの変化を敏感に察知する。
いつも淡泊な表情しか見せない彼が、本気で戦うとどうなるのか見たい。
怒りに顔を歪ませることがあるのか、痛みにのたうつ姿を見せてくれるのか。
そのどれも、きっとボクを興奮させてくれる。
これ以上焦らしてくれるなよ、と押さえていた衝動が溢れる。
それを感じ取ったらしいは、いままでで一際大きくオーラを膨らませた。
反射的にこちらもオーラをまとうけれど。
次の瞬間にはの姿はボクの前から掻き消えていて。
どんどん気配が遠ざかっていくのが感じられた。それも凄い速さで。
「………またお預けか、残念」
けど、旅団とそれなりに関わりがあることも確証を得たし。
今回はそれだけでも収穫ということにしておこうか。
お楽しみは、また次の機会に。ね。
ヒソカさんヒソカさん、気持ち悪いです。
[2011年 9月 19日]